NFTプロジェクトの大きな問題として、ロードマップが実施されない、という点が挙げられる。
販売前まではファウンダーやアーティスト、モデレーターはチャレンジングで魅力的なロードマップを掲げるマーケティングを行う。どのNFTプロジェクトも販売前には世界を変えるような魅力的なプロジェクトに見える。しかし多くのプロジェクト、特に完売しなかったプロジェクトであれば特に、販売後にはそのロードマップがひとつも実施されず、また関係者の発言も日に日に減り、結果として誰もそのプロジェクトの話をしなくなる。
このようなNFTプロジェクトは枚挙に暇がない。
そのようなプロジェクトは緩やかなラグプル(運営による持ち逃げ)という意味で「ソフトラグ」と呼ばれる。
日本発プロジェクトとしてはかなり初期、2022年2月にリリースされながら、提示されたロードマップが少なくとも2022年中はほぼ何もなされなかったプロジェクトがある。
それが、MegabotsNFTである。

実際のロボットを保有しているという大きな特色がありながら、結果としてほぼ音沙汰が無くなってしまったこのプロジェクトを探る。
MegabotsNFTとは?
巨大ロボット、MegabotsをテーマにしたNFTプロジェクトである。2021年1月26日にPRTIMESにて配信されたプレスリリースはまだ確認ができる。このプレスリリースの配信元は「株式会社CRYPTO& Inc.」である。2022年1月のこの時点ですでに発売されていた日本発NFTプロジェクトはPixelHeroes(第1弾・第2弾)、PartySheepClubほどであり、日本発プロジェクトとしては先駆けと言える。
2022年2月にジェネラティブNFTとしてMegabotsNFTが発売となったが残念ながら売れ行きは芳しくない。(現在でも公式サイトでMintが可能である)
総供給量は1,000体であるが、本稿執筆時点でMintされているのは105体、と販売予定数の約10分の1程度に留まっている。

販売が思うようにいかずプロジェクトが実質ストップすることはNFTプロジェクトにおいては「よくあること」ではあるが、このプロジェクトの問題は「掲げられたロードマップが遂行されていないこと」であり、更に「それについて運営者が言及していないこと」である。
このプロジェクトの「ロードマップ」は下記の画像である。

この画像によれば「2022.12 AVATER/METAVERSE」とある。しかし、これらについて公式ツイッター、並びに公式ディスコードでの言及は一切確認できない。また関係者(後述)の各アカウントについても確認ができない。
このロードマップがまさに「絵に描いた餅」になっていることがこのプロジェクトの問題の本質である。
この問題について、公式アカウント/並びに関係者のツイート・そして公式ディスコードから読み解いていきたい。
MegabotsNFTの経緯
・2021年12月20日:MegabotsNFT公式アカウントが初ツイート。
・2021年12月22日:クリスマスバージョンのMegabotsNFTGiveaway告知
・2022年12月23日:公式ディスコードにて初のアナウンス
・2021年12月25日:クリスマスバージョンのMegabotsNFTGiveawayが実施される
Openseaコレクションページ:https://opensea.io/collection/megabots-nft-christmas-edition
・2022年2月13日:チャリティオークションスタート

トンガ沖で発生した海底火山噴火に対するチャリティ企画としてトンガバージョンのMegabotsNFTがMintされオークションにかけられる。

スタート価格0.08ETHだったが、オファーはMunetakanyc名義ウォレットとpeta1102名義ウォレットの2ウォレットに留まる。(入札額はどちらも0.08ETH)。結果としてpeta1102が落札する。
※ちなみにpeta1102名義ウォレットのアクティビティはこの入札が最初であり、それ以降、動きはない。また、Munetakanyc名義ウォレットはSNSの連携がされていないため断言は出来ないがMegabotsNFT運営企業であるCrypto&社の代表、Munetaka氏のものであると思われる。(繰り返しになるが、SNS連携が行われていないため断言は出来ない) つまりこのオークションの入札は運営者ともう1ウォレットの入札のみであった可能性がある。チャリティオークションについて運営者が入札することは禁止されているものではないが道義上の疑問は残る。
・2022年2月15日:MegabotsNFTが発売
Mint中に二次流通が発生し盛り上がりを見せるものの全体のMint数としては約105枚にとどまる。

またMint中に別チェーン(BNB)でもトランザクションを送信出来てしまうエラーが発生する。この対応については運営から返金をするというアナウンスがあるが、実際に返金がなされたのは3月(発生から15日以上経過後)という対応の遅さが見られた。
・2022年2月26日:Mintが進まないこと、また返金対応が進まないことから公式ディスコード内ではラグ(詐欺)を疑う声も出る。
・2022年3月2日:運営企業の一員である「marimo@MEGABOTS」アカウントより返金対応の遅れに関する謝罪がある。

※その翌日、3月3日に返金対応を求めていたホルダーからは返金がなされたとの書き込みがあった。そのためこの返金に関しては現在は完了していると思われる。
・2022年3月4日:「トンガチャリティオークションの報告が無いことについての疑念」があがる。

・2022年4月17日:上記疑念への返答として「munetakanyc megabots team」アカウントよりトンガ大使館からの感謝状の画像が掲載される。オークション終了から約2ヶ月経過後であった。また寄附金額については30,205円であったことが確認できる。

※ちなみにトンガ大使館発行の「CashReceipt(領収書)」の日付(Date)は「11 April 2022」である。(画像参照)

・2022年7月17日:0N1Forceのファンアートがツイッター上でリリースされる。(このアート自体のNFT化は確認できない)
・2022年12月30日:ホルダー向けエアドロップの告知と来年にリアルイベントを計画していることがツイートされる。
時系列としてMegabotsNFTの活動は上記の通りである。ここまでであれば凡百の「掲げられたロードマップがほぼ遂行されることなく、運営者の発言も少なくなっていく、いわゆるソフトラグ」というものであろう。
一方で、このプロジェクトは運営主体が明確になっている稀有なプロジェクトである。(多くのNFTプロジェクトの場合、運営者は匿名であることが多い)これに関係する人々のSNSなどから「Megabots」に関する言及を探る。
関係者
このプロジェクトの関係者として挙げられるのは下記の人々である。
<株式会社CRYPTO& Inc.>
実質的にMegabotsNFTの運営主体者と考えられる。
Munetaka Tokuyama氏:代表者
プレスリリースによるとCrypto&の代表者とある。氏のツイッターアカウントにおいて、「Megabots」という言葉がツイートされたのは2022年2月23日が最後である。
つまり実質の運営主体団体の代表でありながら、Megabotsについて約1年、ツイッターにおいて言及していない、ということになる。
Kaz Shinagawa氏:
Crypto&のメンバーとして掲載されている。氏のツイッターにおいて最後に「Megabots」とつぶやかれたのは2022年2月16日、MegabotsNFT発売直後である。
浅田真理氏:
Discordにおいて「Megabots core team」のロールを保有している。実質的にDiscord管理者とみられる。氏のツイッターにおいて最後にMegabotsという言葉が見られるのは2022年8月7日である。
ちなみに氏は新たなプロジェクトである「VeryLongNounsプロジェクト」に関してのツイッタースペースを2022年12月30日に開催している。
しかしこのVeryLongNounsについて氏の言及は2023年1月3日以降確認出来ない。
<株式会社4RE>
実際のMegabotsの保有企業である。
杉原行里氏:株式会社4RE 代表取締役
Megabotsの実機を保有する4RE社の代表取締役である。当然のことながら「Megabots」という言葉に関するツイートは多いが、MegabotsNFTにかかわるツイートは0N1Forceとのコラボバージョンリリースの告知が最後である。
Megabotsは「ソフトラグ」なのか?
以上の通り、Megabotsは華々しいロードマップを掲げながら「NFTの発行」以外のアクションは何一つ実施されていない。またそのロードマップが変更も、またそれについての説明も行われていない。これらの事実においていわゆる「ソフトラグ」の誹りを受けることはやむを得ないことであろう。
このようないわゆる「ソフトラグ」が日本の一般企業の名のもとに行われることは日本のNFT市場の発展を妨げるものである可能性がある。

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